ごあいさつ
日本古琴振興会・代表 武井欲生
古琴と聞くと、お琴(筝)と混同される方もいらっしゃるかもしれません。
また、「どうして日本で古琴を振興するの?」と思われるかもしれません。
たしかに、古琴は中国古典楽器の代表的な存在です。
しかしながら、遅くとも奈良時代には渡来していた古琴は、日本人の心の中にも深く浸透し、日本と中国が長い年月に渡って共有してきた音楽文化の源泉となるものでもありました。
一例を挙げると、古琴は、平安時代には主に貴族の間で愛好され、一度目の高峰期を迎えます。
『宇津保物語』の清原俊蔭、『源氏物語』の光源氏などが古琴を弾ずる姿は、日本の古典文学作品に独特の風格を与えていると言ってよいでしょう。
また、江戸時代には文人や茶人の間で盛んに用いられ、二度目の高峰期を迎えます。
たとえば儒学者の荻生徂徠は、日本に伝来した最古の古琴の楽譜である『碣石調幽蘭』の研究などを通して、古典中国の儒教的礼楽観に対する理解を深めました。
私どもは、このようにかつて日本人の中にも古琴を愛好する文化があったという一面を、日本の方々に再認識していただきたいという願いから、これまでにも演奏会や交流会など様々なイベントを開催して参りました。そしてこのたび、日本で初めての古琴音楽に関する法人団体として「一般社団法人 日本古琴振興会」を設立いたしました。
今後とも、活動の幅を大きく展開させていくとともに、後輩の育成にも努め、日中文化交流の架け橋となることを願ってやみません。このホームページが、皆さまへの情報発信の場となり、我々の活動にご理解いただく機会となれば幸いです。
2015年5月吉日
日本古琴振興会
代表 武井欲生