一般社団法人 日本古琴振興会
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イベント報告

2023年

10月9日 第四回 定期古琴演奏会 ~古琴・未知の世界~(サントリーホール ブルーローズ)

演奏会当日は、雨天によりお足元が悪いにもかかわらず、たくさんのお客様にお越しいただき、私達スタッフ一同、心から感謝致しております。誠に有難うございました。

当会では、皆様からのご要望にお応えする形で、隔年テーマを変えて定期的に演奏会を開催しております。
第4回目となる今年は、「未知の世界」と冠し、古琴の未知なる可能性を探っていく、というテーマから様々な楽器や歌唱とのコラボレーションに取り組み、また新たな発見をすることができました。

演目・出演者
  • 第一部 貴族の調べ日本で古の貴族達が愛した音色をお届けいたします
    「広陵散」
    『神奇秘譜』(1425)より

    【古琴】武井 欲生

    「梅花三弄」
    『神奇秘譜』(1425)より

    【古琴】武井 欲生

    「大胡笳」
    『神奇秘譜』(1425)より

    【古琴】武井 欲生

  • 第二部 文人の調べ文人とは古くから中国で理想とされてきた、人間の理想像の一つです
    「慨古吟」
    歌詞和訳:平山 洋之

    【古琴】羽下 玉風・呉本 玉道・王 玉陽・武政 希玉・王 玉徳・王 風・黄 雅婷・鄧 虹・田中 健一・伊藤 恵
    【歌】平山 洋之

    「漁樵問答」
    『古岡遺譜』(1500)より

    【古琴】大隈 雅玉

    「鳳求凰」
    『梅庵琴譜』(1931)より

    【古琴】鎌田 珠玉

    「孔子讀易」
    『天聞閣琴譜』(1876)より

    【古琴】武井 欲生・章 玉寧・小田切 貴玉・伊琴 尋玉・金 碧玉・朱 玉莟・永山 靖玉・楊 咲玉・伯 藍玉・早川 玉葉

  • ~ Intermission ~
  • 第三部 東西洋の調和近現代の曲を、古琴と西洋の楽器と共に演奏いたします
    「旅愁」
    作曲:John P Ordway
    編曲:Y.Takei

    【古琴】武井 欲生・川瀬 玉蘭・章 玉寧
    【Viola】三戸 誠
    【尺八】山澤 昭彦

    「家路」
    作曲:Antonin Leopold Dvorak
    編曲:Y.Takei

    【古琴】武井 欲生
    【Viola】三戸 誠

    「無覊」中国ドラマ『陳情令』より
    作曲:林海
    編曲:三戸誠・Y.Takei

    【古琴】武井 欲生
    【Viola】三戸 誠

    「星に願いを」
    作曲:Leigh Harline
    編曲:Y.Takei

    【古琴】武井 欲生・羽下 玉風・呉本 玉道・川瀬 玉蘭・章 玉寧
    【トーンチャイム】小田切 貴玉・早川 玉葉・伊藤 恵

  • 終演

これからも、様々なイベントを開催、参加して、この素晴らしい音楽をより多くの方々にご提供して参ります。ご期待ください。

演奏者紹介
三戸 誠

国立音楽大学附属音楽高等学校音楽科、同大学を経て、同大学院音楽研究科器楽専攻(ヴィオラコース)修了。
1983年 第1回リサイタルを催す。
1998年より三戸誠&佐藤由里亜デュオ・リサイタルを毎年開催。
1999年 アメリカ・メーン州 "Arcadia International String Festival"に、室内楽・オーケストラのコーチとして参加。
2006年 ISMEマレーシア・クアラルンプール大会にてデュオ・リサイタル、"Sentuhan International Music Festival"にて トルコのAnatolian Sun Quartetとセッションを行い、好評を博す。
2009年憲法映画「太陽と月と」、2017年映画「グローバルヘルス実現のために」の音楽を担当する。
2015年 第10回リサイタルを催す。
オーケストラ・室内楽・ソロの演奏の他に、国立音楽大学・同附属高等学校・洗足学園音楽大学/大学院・玉川大学・茨城大学/大学院・埼玉大学などで後進の指導に携わってきた。
現在、明治学院大学・東京都立総合芸術高等学校・早稲田大学エクステンションセンター各講師。

武井 欲生

1963年中国広東省広州市生まれ。
1976年謝導秀先生に古琴の指導を受け始める。
北京中央音楽学院国内留学の後、1986年広州星海音楽学院を古琴演奏専攻卒業。
1989年日本上陸。1996年日本気化。
2004年中国古琴演奏コンクールで銅賞を受賞。
2009年「東京聴風琴社」を創立。
2012年日本の古琴流派「生風流®」を立ち上げる。
2014年「一般社団法人日本古琴振興会」を設立。
現在 一般社団法人日本古琴振興会代表理事、東京聴風生風流®家元。
演奏者、プロデューサーとして国内、海外での演奏活動を通じて古琴文化の紹介に加え、古琴を次世代へ伝えていく活動。後進の指導にも精力的に取り組んでいる。

山澤 昭彥

尺八を学生時代に青木静夫(ニ代青木鈴慕)・横山勝也の各氏から学ぶ。
尺八古典本曲の演奏や多ジャンルのミュージシャンやダンサーとのコラボレーションなど、複合的なアート活動にも取り組んでいる。
2020年から「佳興の会」をプロデュース。年4回の邦楽ライブを開催中。
2022年には「酒井家庄内入部400年記念事業」の一環として七絃琴復興プロジェクトを企画推進。
古琴の新たな可能性を追及しながら現在も活動中。

平山 洋之

1981年山形県鶴岡市生まれ。金沢学院大学文学部日本文学科卒業。
大学時代は、西洋歌曲の日本語歌唱のための訳詞についての研究を行う。
現在、声楽を翁長剛氏に師事。
長く石川県に住み、オペラやコンサートに多数出演。
作曲も行い、祖父で俳人である平山路遊の俳句に作曲した合唱作品『路遊の句による小品集』がある。
現在、山形県鶴岡市の中学校に国語教諭として勤務。

 

東京聴風琴社 生風流®門下

東京聴風琴社 生風流®門下の目覚ましい成長にも、どうぞご注目ください。

鎌田 珠玉

生風流® 準師範 2013年8月入門。
2017年『第2回古琴国際コンクール「平湖杯」in Shanghai』優秀賞。
日夜、古琴演奏技法を極め、独自の演奏スタイルを創造し、近年、古い減字記号の琴譜にリズムを加え、新しい古琴の楽譜を作成。

大隈 雅玉

生風流® 準師範 2014年10月入門。
日本舞踊や、生田流箏曲の経験もあり、古琴の演奏中に於いても日本伝統文化の良さを醸し出す。
近年、後輩の指導にも精力的に取り組んでいる。
2023年「第4回古琴国際コンクール 2023 in Singapore」個人部門「銅賞」

準師範補

羽下 玉風

奥伝

呉本 玉道

奥伝

川瀬 玉蘭

中伝

章 玉寧

中伝

小田切 貴玉

中伝

伊琴 尋玉

中伝

金 碧玉

中伝

朱 玉莟

初伝

永山 靖玉

初伝

楊 咲玉

初伝

伯 藍玉

初伝

早川 玉葉

初伝

武政 希玉

初伝

王 玉陽

初伝

王 玉徳

初伝

王 風

入門

黄 雅婷

入門

鄧 虹

入門

田中 健一

入門

伊藤 恵

国際コンクールにも積極的に参加し、輝かしい成績を残しております。

 

これまで、私たち日本古琴振興会の成長をお見守りいただいたことに心より感謝いたします。
今後もまた、より一層のご応援を、どうぞよろしくお願いいたします。

10月3日 「楽しい隠遁生活 ―文人たちのマインドフルネス」展示会で古琴演奏会(東京都港区)

七弦琴コンサート「文人の心」 ARK Hills Music Week 2023 参加プログラム(18:00~19:00)

泉屋博古館東京で開催された企画展「楽しい隠遁生活」のイベントとして、七弦琴コンサート『文人の心』を開催致しました。
閉館後に開催されるイベントで、尚且つ、定員40名の事前予約制だったのですが、予約受付の開始からおよそ4時間で満席となる程で、演奏当日は、中国やロシアなど海外のお客様も見えられていました。

演奏曲目
良宵引 『松弦館琴譜』(1614)より

古琴演奏:武井欲生 満月の夜、文人は窓の前に琴を撫でって、その音色を爽やかな風に乗せられます。
隠居している自分はまるで明月、清風と楽しんでいるようです。
蘇東坡の一句「与誰同座 明月清風我」はこのイメージの表現ではないかと思います。

酒狂 『神奇級譜』(1425)より

古琴演奏:武井欲生 魏、晋時代にある七人が俗世間を避けて竹林に集まり、酒を飲み、琴を弾き、清談していました。
この七人のことは「竹林七賢」と言います。
この曲は「竹林七賢」中の阮籍が酒を飲んで、即興演奏した曲です。
微酔で千鳥足の様子を表現しています。

虚空

尺八演奏:山澤昭彦 尺八古典本曲の中で最古の曲とされる「古伝三曲」の一曲です。「無」の境地を想像しましょう。

漁樵問答 『古岡遺琴』(1500)より

古琴演奏:大隈雅玉 「漁樵問答」とは、「漁師と木こりが対話を通じて悟りを得る」という、道家思想や禅問答で有名なモチーフです。
宋代以来、退官して民間に戻ってくる人を「漁」と「樵」の人物像だと仮想して、隠居生活の環境での「山」「水」の代表として「漁」「樵」が文人の世界で登場しました。
そして、文人たちはこの「漁樵」という人物を通じて、本質を隠して様々な世間に対しての指摘と、人生論、哲学・思想論等を芸術の抽象的な形で表現しているのです。
宋代の蘇軾(そしょく)をはじめ有名な文人達が愛したこれをテーマに文章を作ったり、水墨画を描いたりしました。江戸時代の日本でも、水墨画の題材として流行したようです。

碧澗流泉 『古岡遺琴』(1500)より

古琴演奏:武井欲生、尺八演奏:山澤昭彥 「山水」は古くから文人たちが愛したテーマの一つです。[山水」はただ自然の「山水」ではありません。
ありのままの「山水」に照らされている「美」と「永遠の存在」によって、文人達にとっては、一種の「悟り」の境地に誘われ、精神的に依存する「山水」になっていました。
曲のイメージは山中に分け入って、奥へ奥へと歩いていくと、静かに美しい水が湧き出しています。
泉からあふれ出した水は木々の間を抜け、時に石に跳ね返されたりしながらも留まることはありません。
山を下るその縷々とした流れは小川へ、そして大川へと流れ込むのです。

帰去来辞 『東皐琴譜』(1771)より

古琴演奏:武井欲生 中国の魏晋南北朝時代の詩人・陶淵明の『帰去来辞』をもとにした曲です。この曲は古琴曲として、古くから文人琴士の間で愛されていました。
江戸時代の文人は「晴耕雨読」の隠居生活をのぞみ(晴れ日は畑仕事を、雨の日は読書を)田園風景の中で自宙自在な生活をしていこうという心境を音楽で語ります。

「大哉引」琴歌 『東皐琴譜』(1771)より

古琴演奏:武井欲生、章玉寧 儒教の経書「中庸」第27章
(大なるかな聖人の道は、洋々と流動充満して、万物を発育させ、高大なる天を極めます。
優々として大なるかな、礼の大網である三百、威儀三千は、それらは致誠の人を待った後行われるものなのです。ゆえに、いやしくも致誠の人でなければ、道は成らないといわれるのです。)
※読み下し(日本語):碇 豊長

演奏者紹介
山澤 昭彥

山形県鶴岡市出身。尺八を学生時代に青木静夫、横山勝也の各氏から学ぶ。
近年はコンピュータを使った映像と音楽を組み合わせた「実験音楽工房」を 東京などで開催。
尺八の演奏を加えたアート活動にも取り組んでいる。
2021年には「酒井家庄内入部400年記念事業」の一環として「七絃琴復輿プロジェクト」を推進。

大隈 雅玉

東京聴風琴社 生風流® 準師範
第4回古琴国際コンクール 2023 in Singapore 個人部門「銅賞」

章 玉寧

東京聴風琴社 生風流® 中伝
第4回古琴国際コンクール 2023 in Singapore 合奏部門「銀賞」

  • ご来場いただいたお客様をはじめ、主催者「泉屋博古館東京」の方々、音響、撮影、各社事務関係者の方々に心から感謝申し上げます。

8月26日(土)~28日(月) 第四回 古琴国際コンクール(シンガポール)

シンガポールで開催された第四回古琴国際コンクールに参加しました。
2015年の上海「平湖杯」以降、生風流の門下生を連れてコンクールに参加するのは7年ぶりでした。
この古琴国際コンクールの審判員は、アメリカ、ドイツ、フランス、マレーシア、台湾、中国(北京、南京、杭州)そして日本(私)の各地から集いました。

大会では学生時代の友人と再会する機会でもありました。

コンクールの最終参加選手は243名。生風流の門下生8名が参加しました。

伝統個人部門の銀賞には王風さん、川瀬玉蘭さんが受賞。
伝統個人部門の銅賞には朱珠莟さん、大隈雅玉さん、磯貝茉莉衣さんが受賞。
合奏部門の銀賞には章玉寧さんと小田切貴玉さん、そして朱珠莟さんと伯藍玉さんが受賞。

皆さま、おめでとうございました。

3月25日(土) 賞桜の集い(千葉県立幕張海浜公園)

第7回日中文化交流会「枯木生風」を松籟亭の茶室で開催。
当日は春雨となりましたが、若葉の美しい日本庭園の池で、雨に打たれる鯉が楽しそうにしている様子が心に残りました。
演奏曲全10曲。